
サッカーやラグビーみたいに激しいスポーツなどでしばしばみられる脳震盪(のうしんとう)ですが、スポーツ中に脳震盪を起こしたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
脳に関わることだから…と心配される方も多いと思いますが、この脳震盪とはいったいどのような状態なのでしょうか。
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今回は脳震盪を起こした時の注意点や応急処置、痙攣や嘔吐がみられる場合の対処法などについて、詳しくご紹介していきます。
脳震盪を起こしたときの注意点は?
まず脳震盪とは、激しい接触などが原因で脳が大きくゆさぶられることによって起こります。
そして、脳震盪は一時的な意識障害を伴うものの、後遺症もなく治ってしまうもののことを言います。
多くはアメリカンフットボールやラグビー、アイスホッケー、ボクシング、サッカー、スキー、体操といった激しいコンタクトスポーツ中に見られます。
症状としてはめまいや嘔吐、吐き気、頭痛、集中力の低下、意識障害、耳鳴り、ものが二重に見えたりぼやけて見える、情緒不安定になる、ふらつき、反応が遅い、などがあげられます。
脳震盪は一時的な意識障害というものの、少なからず脳への負担がかかっているため、少しよくなったからといって油断してはいけません。
もし5分以上、意識障害が起こっている場合は重度な症状なので、救急搬送するのが懸命だと思いますね。
そして、本当に注意したいのは、脳震盪の後に再度衝撃をうけることで生じる「セカンドインパクト」です。
このセカンドインパクトは、1回目の脳震盪が軽度であったとしても、脳震盪を起こしてから30日以内に再度頭部外傷を受けることで重篤な状態になってしまうのです。
セカンドインパクトは18歳以下の若者に起こりやすく、致死率が30~50%にものぼり、後遺症を残しやすいともいわれています。
そのため一度脳震盪を起こしたら、たとえ軽度であったとしてもしばらくは激しいコンタクトスポーツは避けたほうが良いでしょう。
セカンドインパクトは、2度目の頭部外傷が軽度でも起こります。
脳震盪を起こした当日は、できるだけ一人でいることを避け、付き添いの人にいてもらえればいてもらうようにしましょう。
また、入浴や飲酒は血管を拡張させ、脳への血流を変化させることがあるため、避けた方が良いですよ。
そして、脳震盪を起こしてから3週間~3ヶ月ほどたってから症状が出てくるようであれば、慢性硬膜下血腫の疑いがあります。
この場合もおかしいと思ったらなるべく早めに病院を受診するようにしましょう。
脳震盪を起こしたときの応急処置とは?

次に脳震盪を起こした場合にどのような応急処置をしたり対処するのがベストなのでしょうか。
ひとつずつ詳しく説明していきますね。
安静にさせる
まず、しなくてはいけないことは脳震盪を起こしたら安静にさせることが第一です。
むやみに動かしたり、立たせたりせずに安静にさせることが大事になってきます。
軽度、重度関係なくまずは安静にさせるということを頭に入れておいてください。
バイタルチェック
安静にさせたら次にしないといけないことはバイタルチェックです。
何をチェックするのかというと、呼吸回数や脈拍などの循環動態を計るようにしてください。
この段階で異常がある場合は、ただちに救急車を呼んでください。
意識状態・記憶状態の再確認
さらに、日にちや時間、場所などの簡単な質問をすることで意識障害や見当識障害がないかどうかのチェックを行い、ほかにどのような症状があるかを把握します。
この時点でも異常を感じるようであればすぐに救急車を呼ぶようにしてください。
バランステスト
次に、脳震盪を起こした際にバランステストも行なうようにしましょう。
下記にバランステストのやり方を詳しくご紹介しておきますね。
利き足ではない方の足をまず後ろに出してそのつま先に利き足の方のかかとをくっつけて一直線上に立ちます。
両足に体重を同じようにかけて両手を腰に置きます。
そこから眼をしっかり閉じて約20秒間じっと立つようにしてください。
そしてバランスを崩してしまったらまた同じようにやり直しをしてそれを繰り返し行なってください。
20秒間で6回以上バランスを崩すようなら異常があると判断して良いと思います。
水や濡れタオルで冷やす
また、応急処置として出来ることは、水や氷、濡れタオルなどで頸部や頭部を冷やすようにしますが、この時に水分は与えないようにしましょう。
意識があっても、吐き気やめまいなどがある場合は、戻したりして誤嚥や窒息につながる可能性があるのでひとりにせず、しっかりと付き添ってあげてください。
運転や携帯の使用を控える
脳震盪を起こしたときに例え軽度だからといってその日のうちに自転車やバイク、車の運転は絶対に控えるようにしましょう。
さらに、携帯(スマホ)やテレビ、パソコン、モバイル端末の使用も控えた方がいいでしょう。
病院を受診
原則として脳震盪が疑われる場合は、その日のうちに病院を受診するようにしましょう。
例え軽度な脳震盪だったとしても今後のスポーツ人生に悪影響を及ぼしたり、のちに後遺症が出て来たりする可能性もあるので、大事に至る前にしっかり検査しておいた方が安心と言えるでしょう。
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痙攣や嘔吐がある場合の対処法は?
脳震盪を起こしたあとに痙攣や嘔吐の症状が出た場合はただちに救急車を呼びましょう。
先ほども言いましたが、脳震盪の疑いがある場合はできるだけ動かさないことが原則です。
また、嘔吐があるときは頭を高くし、横を向かせて吐瀉物の誤嚥を防ぐとともに、気道の確保を行います。
痙攣がある場合は衣服を緩めて絞まらないようにし、呼吸を楽にさせることが大切です。
通常、痙攣などは短時間で収まることが多いですが、長い時間続いたり、何度も嘔吐を繰り返す場合は脳出血や脳挫傷を起こして脳を圧迫している可能性もあるため、注意が必要です。
そのため、嘔吐や痙攣がある場合は、痙攣の持続時間はどのくらいか、頭部外傷を起こしてから何回嘔吐しているかなどを把握しておき、救急隊員が来たときに伝えられるようにしておくとよいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
脳震盪を起こした場合に注意すべき点や応急処置、対処の仕方、さらに痙攣や吐き気がある場合にどのようにすべきかを詳しくご紹介しました。
脳震盪は一過性のものですが、程度によっても様々です。
また、頭部外傷によって脳震盪ではなく脳出血や硬膜下血腫などを起こす場合もあるため、頭を強く打った時はまず安静にし、一人にはならないことが大切です。
そして、セカンドインパクトを避けるためにも、脳震盪を起こしたあと、しばらくは激しいスポーツは避けましょう。
一過性のものだからといって甘く見ず、きちんと病院を受診して正しい治療を受けるようにしてください。
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