
耳垂れという言葉を聞いたことはありますか?
一度は耳垂れを経験したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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耳が痛かったり、耳からなんらかの液体が出てきたりすると、目には見えない部分のため不安になりますよね。
大人であれば、言葉にして「痛い!」など訴えることができますが、子供や高齢者の場合には、「痛い!」と訴えられずに症状に気付くのが遅れることもあります。
そんな本日は耳垂れが止まらない原因と子供に起きた場合の対処法について詳しく解説したいと思います。
耳垂れが止まらない原因は?
まずは、耳垂れが起こるメカニズムや耳垂れが止まらない原因についてひとつずつ見ていきましょう。
耳垂れってなに?
耳垂れというのは、その名の通り耳から液体状のものが流れることです。
耳垂れは、病院などでは耳漏(じろう)という言葉で表現されます。
耳垂れは子供に多く、大人はならないのでは・・・と思う方もいると思いますが、大人でも耳の病気やけがの際には起きることがあります。
耳垂れの状態や色は特定のものはなく、様々です。
無色透明で水のようなものもあれば、粘液状のもの、黄緑色で膿が混じったものなど原因によって異なりますが、なかには臭いが強いものもあります。
耳垂れが止まらない原因
外耳の炎症
耳掃除の際に綿棒に黄色い液がついていることはありませんか?
耳掃除の際に外耳道が傷ついてできた炎症が原因となっています。
外耳の炎症の場合の耳垂れは、傷口の周りから出てくるもので、粘り気がなく、薄い黄色の液です。
鼓膜炎
鼓膜という部分は、外耳道の奥にあります。
この鼓膜に炎症が起こると耳垂れを起こします。そして、鼓膜炎は、20~40代の女性に起こりやすくなっていると言われています。
鼓膜炎は、【水泡性】のものと【肉芽腫性】の2つがあります。
水泡性のものは、この時期に流行するインフルエンザなどのウイルス感染が原因となってきます。
鼓膜自体に水膨れ(水泡)ができ、強い痛みが起こり、水泡性の場合は、耳垂れはあまり起こりません。
肉芽腫性のものは、細菌感染が原因となってきます。
鼓膜に小さな溝ができ、耳鳴りや耳が詰まる感じが症状として出てきます。
痛みはあまりありませんが、耳垂れがひどいのが特徴です。
上記で話した原因の他にも鼓膜の症状は、奥にある中耳になんらかの炎症がある際にも起こります。
中耳炎
外耳炎や鼓膜炎はあまり耳にする機会が少ないと思いますが、中耳炎という病気はよく聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
中耳炎には、【急性中耳炎】と【滲出性中耳炎】に分けられます。
急性中耳炎は中耳や鼓膜の内側が細菌などによって炎症を起こすことです。
そして、滲出性中耳炎は、炎症を起こした部分からの液がたまることで、耳が聞こえにくくなってしまったりもします。
子供は、中耳炎を起こすことが多いと思いますが、子供が起こす中耳炎は滲出性中耳炎であることが多いです。
では、急性中耳炎と滲出性中耳炎の違いを見ていきましょう。
急性中耳炎の耳垂れは、膿が混ざった感じのものが出て、ウイルスなどが原因で中耳に炎症を起こし、膿が生じるメカニズムになります。
中耳に溜まった膿が鼓膜を破り、耳垂れとして出てくるのです。
滲出性中耳炎は色んな原因があって症状として現れてくるんですが、主に中耳の滲出液が中耳腔に溜まり、耳が聞こえにくくなってきます。
急性中耳炎から滲出性中耳炎を起こすこともあります。
その他に、【真珠腫性中耳炎】という急性中耳炎と滲出性中耳炎以外に稀な病気も存在します。
少し変わった病名なのでなかなか聞いたことがある人も少ないんじゃないでしょうか。
何らかの原因で、外耳の皮膚が中耳に入り込んでしまい、硬くなってしまいこの症状を真珠腫と言います。
真珠腫ができた中耳炎のことを真珠腫中耳炎というんですね。
この硬くなった真珠腫が骨組織などを圧迫し、壊死させることで聴力を失う可能性もある怖い病気です。
粘り気の強い膿や血の混じった膿、さらに悪臭がある耳垂れが特徴的ですね。
耳垂れが止まらない場合に考えられる病気や病名は?

耳垂れが止まらない原因でもお話したように耳の炎症によって起こることが多いと分かったと思います。
その中でも急性中耳炎が最も耳垂れを起こす頻度が高い病気になります。
急性中耳炎
原因のところでも詳しくお話しましたが、中耳炎は子供に多い病気です。
子供は鼻と耳をつなぐ耳管が短く、傾きが少ないために細菌などが入り込みやすくなっているので、中耳炎を起こしやすくなります。
成長に伴って、耳の構造もしっかりしてくるために10歳を過ぎた頃から中耳炎を起こしにくくなってくるといわれています。
だからといって大人が決して中耳炎を起こさないということではありません。
急性中耳炎の症状
耳に強い痛みがあり、熱が出ることもあります。
一見、風邪かな?と思うような症状ですが、風邪薬を飲んでいても熱が下がらなかったり、耳の痛みが治らない際には中耳に膿が溜まって、中耳炎を起こしている可能性が高いです。
悪化してしまうと、膿によって鼓膜が圧迫され、痛みも強く、膿が鼓膜を破って耳垂れとして出てきます。
急性中耳炎の原因
プールで耳に水が入り、中耳炎を起こしたという方もいるのではないでしょうか。
ですが、プールで水が入ったことが原因で中耳炎を起こすことはないといわれています。
それは外耳と中耳は鼓膜によって仕切られているため、外耳から入ってくる細菌などで感染することはないのです。
では、どうやって中耳が感染を起こすのでしょうか?
鼻の奥やのどと耳をつないでいる耳管から細菌が入って、中耳という部分で炎症を起こすことが多いんです。
耳管という部分は、普段は閉じているのですが、鼻水をかんだり、何かを飲み込んだりする際に開きます。
鼻を強くすすると耳管が開いて、細菌やウイルスが入り込んで、炎症を起こします。
滲出性中耳炎
急性中耳炎とは異なり、滲出性中耳炎は10歳以下の子供に多く見られる中耳炎です。
鼓膜の奥側にある中耳から出た液が中耳に溜まってしまう病気です。
はじめにお話したように言葉をあまり話せない子供の場合には、症状や病気に気付くのが遅れてしまい、難聴など重症化してしまうことがありますので、注意してください。
滲出性中耳炎の原因・症状
大人の場合には急性中耳炎の延長で滲出性中耳炎を起こすことが多いです。
それは、急性中耳炎の治療をきちんとしないままでいるために鼓膜の内側に滲出液が残ってしまい、症状として起こってしまいます。
滲出性中耳炎はあまり痛みを感じません。
中耳に滲出液が溜まった状態のため、耳に水が入った時のように耳がもわもわしたり、聞こえづらくなります。
急性中耳炎のように痛み、熱がないため、この耳の聞こえ方を気にせずにいることが難聴などの重症化につながるのです。
耳垂れが止まらない場合の対処法も教えて?
耳垂れの症状が出た場合には、耳鼻科を受診することが最優先となります。
普段から気をつけることとして、耳掃除は週1~2回程度にすることと強くしすぎないことが大切です。
外耳道は、自ら耳垢を外に出すような自浄作用があります。
無理な耳掃除によって、耳垂れが起こりますし、重症化すると細菌感染を起こして外耳道湿疹や外耳道炎を起こし、長期化してしまいます。
急性中耳炎の治療
発熱して、炎症している場合には、抗生物質で炎症を抑えます。
膿が溜まって、耳垂れが起こっていたら、鼓膜を切って膿を出す処置をします。
幼い頃、耳掃除をするときに鼓膜を傷つけないようしなさい…と言われたことはありませんか?
それは鼓膜を傷つけると耳が聞こえなくなるといわれているからですね。
処置の際に、鼓膜を切ったら耳が聞こえなくなるんじゃないかと思ってしまいますが、切った鼓膜はすぐに塞がりますので、安心してください。
逆に膿を出さずにいると、炎症が完全に良くならずに難聴などを起こす可能性があります。
滲出性中耳炎の治療
滲出液の排出と通気を十分することが大切となります。
急性中耳炎の治療でもお話したように、鼓膜を切って、膿を出す処置が必要となります。
子供に起きた時の対処法
痛い、耳がおかしいなど言葉にできない子供の場合には、症状や病気に気付くのが遅れてしまいます。
では、どうしたらいいのでしょうか。
熱などの症状が出た場合、お母さんは子供の様子がおかしいと思ったりしますよね。
普段と少し様子が違う、泣きやまない、寝付きが悪い、耳を触る、名前を呼んでも反応しないなどお子さんの様子を見て、あれ?おかしいな…と感じたら、その判断は正しいと思いますよ。
もし、違ったとしても病院に行って、何もなければ安心できますよね。
中耳炎は子供に起きる1番多い病気となっているので、中耳炎から耳が聞こえなくなるなどのリスクもあるため、とても怖い病気という認識を持っておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
耳垂れがある、止まらないというのは主に中耳炎が原因となることが分かったと思います。
中耳炎だから大丈夫と安易に考えていると、耳が聞こえなくなってしまうこともあります。
ましてや耳は顔など見える部分と異なり、鏡でも奥の方まで見えませんよね。
自分の判断では、何が起きているのか分からない部分なので、自己判断せずに早目に耳鼻科で診てもらいましょう。
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