
スポーツをしている時や、転倒して頭部を打ったりしたとき、なんだか意識がもうろうとなった事はありませんか?
特に小中学生のお子さんにサッカーなどの激しいスポーツをやらせている親御さんは脳震盪を起こしたときの正しい対処法やそのあとの後遺症についても頭に入れておいた方がいいかもしれません。
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脳震盪を起こしたとき、私たちはどのような対処をしたらいいのでしょうか?脳震盪のしくみや症状、対処などについて調べたことを紹介していきたいと思います。
脳震盪ってなに?どんな症状が起こるの?
まずは、脳震盪がどのようにして起こるのか、そしてどんな症状が襲ってくるのかを詳しく見ていきましょう!
脳震盪とは?
まず、脳震盪とはどのような状態の事をいうのでしょうか?
脳はとても柔らかく、頭蓋骨と脳髄液によって守られています。
脳は、何らかの理由で外部からの強い衝撃を受けると、頭蓋骨の内側で脳脊髄液(外部からの衝撃を守る髄液)と一緒に、前後左右揺れている状態になります。
お豆腐が容器の中で揺れているイメージを想像してもらえると分かりやすいと思います。
揺らした直後は素早く揺れているものが、時間が経つと揺れが落ち着いてくる。
これが、頭の中でも起こっているんですね。
一時的な脳の機能障害で、脳そのものは損傷していないので、軽度のものは、翌日には症状が良くなっている事がほとんどです。
脳震盪の症状は?
脳震盪の具体的な症状としては、次のようなものがあります。
受傷直後は、意識混濁(意識がもうろうとする、記憶がなくなるなど)、バランス障害(ふらついて歩けない)、頭痛や視覚障害(二重に見える、ぼやけるなど)、吐き気やめまい、光や音への過敏症、反応が遅くなるなどがあります。
軽度のものは、翌日になるとほとんどの症状は消失していますが、受けた衝撃の強さによって個人差があり、頭痛や気持ち悪さが残ることもあります。
長期に残る症状としては、うつ状態(不安になる、落ち込むなど)になる人もいるようです。
また、重症なものになると、嘔吐や昏睡状態(うとうとして反応が鈍い)、けいれんや、意識が全くなくなるなどの脳血管障害のような症状が現れます。
このような場合には危篤な状態と言えます。
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症状のレベル
脳震盪を起こした場合の意識喪失の見られる時間は個人差があります。
ほとんどは受傷直後に始まりますが、人によっては数時間後、数日後に始まる事もあります。
また、数週間経ってから発症する人もいれば、意識喪失が見られない人もいます。
脳震盪の重症度には次のような3段階のレベルがありますので、参考にしてください。
①,軽度(レベル1):意識喪失(失神)は一過性であり、記憶障害はみられない。翌日には症状が消失する。
②,中等度(レベル2):2分以内の意識喪失(失神)、記憶障害(健忘)があり、吐き気や頭痛が持続する。
③,重度(レベル3):2分以上の意識喪失(失神)、嘔吐やけいれん、麻痺、視力障害などの出現。
それぞれのレベルによって対処も変わります。
軽症では安静にして様子をみたあと、症状が良くならなければ当日、または翌日に病院へ行きましょう。
もちろん、軽度なもので症状がまったくなくても安心のために病院で診てもらった方がいいとは思います。
中等度では当日、または翌日に病院を受診して検査が必要になります。
重症だと判断した場合には、脳のダメージが大きいと思われますので、救急車を呼ぶなどして、速やかに病院へ行ってください。
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脳震盪で頭痛や吐き気がする場合の対処は?

脳震盪を起こした直後の対処としては、まずは頭部を冷やしてください。
意識が混濁している時は、誤飲や嘔吐の原因にもなりますので、飲み物を飲ませないようにして下さい。
脳震盪から完全に回復したことを確認するまでは一人にせず、誰かが必ず状態をチェックする必要があります。
スポーツ競技中に脳震盪を起こしてしまった場合、軽症であれば、すぐ競技を再開することがあります。
また、練習中であれば、自己判断で練習を続けるという場合も多いようですが、このようにスポーツでの脳震盪には注意が必要です。
サッカーや柔道、ラグビーなどの接触が多いスポーツ、また馬術で落馬をするなどして脳震盪を起こした場合で、完全に回復していないうちに運動を再開し、再び脳震盪を起こしたとします。
そのように、脳震盪を何度も繰り返していると、「セカンドインパクト症候群」と呼ばれる状態となり、頭痛や吐き気が長期間続く事があります。
これは脳の回復を待たずに、またすぐに脳震盪になるため、脳に致命的なダメージを与えている可能性があります。
繰り返している事により、急性外傷性硬膜下血腫などの、脳の出血を招く恐れがあるので軽視してはいけません。
スポーツをしていて頭部を打ち、脳震盪だと言われた場合には、コーチや家族に伝えすぐに安静にすることが大事です。
そして病院で速やかに検査を受けるようにしてください。
そこから、1~2週間は練習の再開を控えるべきだと考えられています。
国内の脳神経学会やスポーツ臨床学会などでは、スポーツ中での脳震盪に警鐘を鳴らしており、軽度の脳震盪を見逃さず、練習への復帰は徐々に行うべきだとしています。
脳震盪を起こしても、本人の意志を尊重するなどの理由で練習を続けていたため、脳の損傷を起こしていたという症例が増加しているようです。
脳震盪を起こしてから、何日も頭痛や吐き気が続いている場合には、脳の損傷を疑いましょう。
その場合には、すぐに医師の診察を受け、その後の練習や競技への参加について、コーチや家族も含めてよく考えてから復帰をすることが必要です。
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脳震盪の後遺症とは?

軽症の脳震盪の場合、受傷してから速やかに症状は改善していきます。
翌日病院へ行っても、CTやMRIの検査結果には異常がみられないことがほとんどです。
ただ、脳震盪のレベル2(中等度)では、医師の治療を受けていれば、ほとんどの場合後遺症は残らず回復します。
しかし重症の場合は、脳出血や脳挫傷などの脳の損傷が認められる状態になっているので、損傷した部位によっても後遺症は違いますが、半身麻痺や言語障害、歩行できないなどの後遺症が残る場合もあります。
現代のスポーツの競技会には、医師や医療関係者が常駐するようになっています。
激しいぶつかり合いや転倒して頭部を強く打ち付けた場合、その場で医師から「脳震盪かも?」と言われた時には、症状がすぐ良くなったからとすぐ復帰することは避けたほうがいいようです。
医師の許可がでるまでは、競技に復帰すること、練習を再開することはしないようにしましょう。
脳の損傷の程度にもよりますが、その後の選手生命を絶つことにもなりかねません。
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まとめ
自分自身がスポーツをやっている、または家族がスポーツをやっていたりすると、脳震盪を起こしたりする場面に遭遇する事があるかもしれませんよね。
私も一度、家族が脳震盪を起こし救急病院へ行ったことがあります。
脳はとても繊細に出来ていて、人間にとって大事な部分でもあります。脳震盪を「大したことない」と軽く考えていると、後で後悔する事になるかもしれません。
誰かが脳震盪を起こしてしまった場面に遭遇した時、症状や対処法などを知っておくことで、最悪の事態を回避できるかもしれません。
そんな時のために、是非覚えておくと良いですよ。
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